冥王星と魂の望み〔前編〕破壊の実例


ここしばらく、「自分ちの近くに戦闘機がやってきて、防空壕に隠れる」だの、「脱走兵をかくまっていたら、巻き込まれて爆死した」だの、「核爆弾が紫色の閃光を放って、死を悟った」だの、とにかくえらく物騒な夢を続けて見ています。
なぜか、「台所が爆発した」なんていうのも。
今現在、死んだのは2回。台所の時は無事だった。


「死ぬ夢を見るときは生まれ変わるときだ」なんていいますけど、それにしても死に方が穏当じゃないじゃないですか。
というわけで、この夢が示すのは、「現状を打破=爆破したい」という思いかな? ……と解釈しています。
とりあえず予知夢や、世情への不安の現れじゃないことを祈る。
まぁ今のところ、目が覚めて、「怖かった~」という思いは、あまり無いですし。


*


「生まれ変わり」をあらわす星は、なんといっても、太陽系最強の『冥王星閣下』ですね。
冥王星は、「死と再生」の星。
乗り物に例えれば「戦車」とか「ブルドーザー」だそうで、
普段使いはしないけれど、いざというときにハイパーで容赦ない働きをする星です。
ですので、冥王星がトランシットしている時のことって、大概、「苦労の最中にあった」なんて聞きますよね。



私の人生で最も冥王星を食らってた実感があるのは、幾度か書いていますがやっぱり、

『上京を決めた頃』

でした。


ざっと説明しますと、まず、当時勤めていた会社で、大問題が発生しました。
会社全体で、大きなミスをやらかしたのです。


そもそも、そのミスというのは、会社が社員の相談もなしに取り入れた『新システム』が原因。
そのシステム導入があまりにも大きい改悪だったため、社員の仕事量は莫大に膨れ上がっていました。
よって、深夜残業をしても仕事が終わらず、家に持ち帰って仕事をしたり、休日出勤したりが当たり前になり、そうするうちに、社員がどんどん疲れ果て、その結果の暴発。
四方に謝罪をしないといけなくなりました。


社員はそのとき、正直、期待しました。

「これで社長は、今度こそあのシステムを見直してくれるに違いない」

と。


ですが、社長は、急遽、社員の年末の休みを取り上げたのみならず、

「社員の賞与を全カットとし、そのお金でお客様ひとりひとりに、粗品をお配りし、謝罪しよう!」

などと、面白いことを言い始めたのでした。
笑いの取り方がよく解っていらっしゃると思います。
賞与といいましても、それは『残業代の別名』だったことも忘れてはいけません。
(そのことは後ほど、専務から直に明かされます)


けれど、残念だったのは、せっかくの一世一代の大ジョークを、社長自らが告げず、代わりに専務に言わせるという、もったいないことを仕出かしたことでしょうか。
専務がその決定を社員に告げている間、弁当の箸を洗いに、そそくさと給湯室に駆け込んでいった社長の姿は、そのときに感じた落胆とともに、今も忘れられないです。



自身もミスをやらかした内のひとりだった課長(例の少女Aの作者)は、影でオンオンでかい声で泣き、
洗脳されていた、私たちヒラは目を覚まし、
ついに、「このままじゃダメだ!」と立ち上がる準備を始めました。



奇しくもそんな中、『日直当番』が私に回ってきました。
日直には翌朝、日誌を社長室へ持っていくという役割があります。
そこで私は日誌に、こう書きました。


――新システムは導入後一年経とうとする今も安定せず、業務に大きな支障をもたらしています。

――今後に向けて、全員参加の会議を行ってください。


「じゃあ、どうしたらいいと思うかね?」


『どうせ大した策も無いのに、未熟な若いヤツが文句を言っているだけだろう』
と、高をくくっていたであろう社長の横柄な問いかけに、


「新システムを廃止しましょう」


思いのほか、私がはっきりと答えたため、そこから2時間、社長室で論戦となりました。
論戦とは言っても、問われたことに坦々と答え続けただけ。
食って掛かったわけでも、声を荒らげたわけでも、まして打ち負かそうとしたわけでもありません。
ですが、社長にしてみればおそらく、初めて正面から意見してきた社員の存在に怯えたのでしょう。



結果、全体会議を行うことにはなりました。
課長(少女Aの親)は会議の数日前に、「意見がある人は資料を出すように。」と指示しました。
それに忠実に従った私含むヒラは数名で「業務改善案」を作成し、提出。
しかし時間切れにより、会議中には読まれることなく一方的に持ち帰られたこれが、
社長始めとする上層部に、結果的に「血判状」のように取られてしまいました。
そして作成者たちは、
「謝罪文を書くか、あるいは退職するか」
を迫られたのでした。



今考えれば、会社の対応は普通に法に問うことが出来るでしょう。
今であれば、ネットで炎上さわぎを起こすことも可能だったかもしれません。
(出来てもしないけどさ)


ですが、当時(といっても、ほんの5年前ですが)はまだ、
「多少はガマンすべし」
という考えがまかり通っていました。


私は、『魂を汚すことは出来ない』という思いだけは揺らがなかったので、謝罪文は当然ながら拒否し、後輩のひとりとともに会社を去りました。


ですが、身近な人達には、
「社長を追い詰めたのか」とか、
「社会で生きていくには仕方ないこともあるだろうに」とか、
「君は気が強い」などなど、否定的な言葉を次々と浴びせられ、
正直、会社を辞めたことよりも、それらの発言に傷つけられ、苦しんでいました。


唯一の救いは、地元銀行で総務担当を経験していた叔父の、
「がむしゃらに働けばいい、という考えはもう過去のもの」
「ワークライフバランスを重視する時代に入っている」
「社内コミュニケーションを下から取ろうとするのはそもそも無理。上から降りてくるべきだ」
といった言葉でした。あれがなければ死んでたと思う。


*


そうして無職になり、次の仕事を考えないといけなくなりました。
しかし私には、どうしても、再び『鹿児島で働く』というビジョンが見えませんでした。


頭の中にはいつも、「東京に出た方がいい」という言葉が響いていました。
しかしそうは言っても、東京で何をしたらいいのか解らない。
都会に憧れている思いや、足がかりにしようと思える当ても、別にない。あるのは、
「なんとなく、でも、どうしても東京。」
……いや、それ以前に、
「もう、ここにいてはダメ。」
その漠然とした、けれども拭えない思いだけ。


かつて上京して逃げ帰ってきた身内の存在もあって、こんなふわっとして馬鹿げたビジョンに従う勇気はなかなか湧かず、直観と恐怖の間で揺れ動く一年を、実家で惨めに、悶々と過ごしました。


もたもたしている私に、とどめをさしてくれたのは、『恋愛』でした。
この苦悩の一年の間に、恋愛面でもこじれた私は、ほっぺたがカピカピになるくらい泣き続け、何もかもなくしたような捨て鉢な気持ちになり、「ああ……もう、出るしかないな」と、鹿児島を押し出されたのでした。


*


これが冥王星の「本質に逆らう生き方を更地に戻す」ということだと、今になってよく解ります。


私はこの会社にいる間、辞めたくて辞めたくて仕方がなかった。
それは残業がひどかったこともあるけれど、社員が子どもたちの勉強の成果をデータで区別し、「しょぼいヤツ」「意識高いヤツ」と心ない言葉で表していたこと……
社内で、今で言うパワハラ発言が多数飛び交っていたこと……
それらの何もかもがイヤだったし、そもそも、
「全然、やりたい仕事じゃなかった」
から。


けれど、それこそ、「生きていくためには、ガマンせねば。」といった『常識的思考』によれば、ここにいることが『正解』。
その中で、私は魂を蝕まれるような気持ちでいながらも、ただただマジメに黙々と働いていました。



ですが常識は所詮、その時代にあわせて人間が作り上げた、その時代専用の枠組み。
「魂の真実」ではありません。


そのガマンがどんなにその時の世間的には真っ当とされる生き方だったり、時間をかけて作った立ち場であっても、冥王星にしてみれば、知ったこっちゃない話。


「それはお前の、魂の望みか?」


冥王星に問われるのは、ただ、それだけ。


そしてその答えが『No』であれば、どんなに、「でも」や「だって」で防御したって、冥王星は黙ってブルドーザーを発動するのみ。


冥王「本心では変わらねば、と思っているのだろう?」

エゴ「う……でも、捨てたら捨てたでリスクが……。普通に考えたら現実味が……」

冥王「わしは思考に聞いているんじゃない。魂に聞いておる。」

ズガガガガガガ!!!


ゆえに、冥王星が効いているときは、一見すればひどい目にあったりもするのでしょうが、きっとそれはすべて、


「本来歩むべき道へ導くため」。


そこに「情け」や「容赦」はないけれど、それが冥王星のハートマークがあらわす「愛」なんだと思っています。


(後編へつづく)


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関連リンク(この頃のトランシットについて)

キャトロの星の庭

Cotorillaの別邸。占星術の話題専用ブログ。主に実体験検証。

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